ドイツでハムが普及したのには色々な理由があるでしょうが、中でも面白いのが、戦争に関係するものです。兵士たちにとって、いつの時代も保存性の高い食品は重宝されます。ハムは携帯するのにも、保存するのにも便利であり、栄養価、エネルギーも高いことから、戦時中の食品としては優れていました。ハムやソーセージを食べると簡単に食欲を満たせますし、何より戦闘中でも手軽に食べられるのがポイントです。兵士に美味しいハムを届けることは、ドイツ国民、職人の責務でもありましたから、ソーセージ文化は一層発展したというわけです。
 さて、ドイツではポテトも広く普及していますが、実はこれもソーセージ文化と関係しています。元々ドイツでは、ポテトは家畜の餌に過ぎませんでした。人間には不向きな食品だと考えられていたのです。しかしソーセージを作るために、たくさんの家畜、特に豚が飼われるようになると、その餌としてポテトの栽培が盛んになりました。そうした中、18世紀にヨーロッパで飢饉が発生しました。当然余っていたポテトは人間用に回され、多くのドイツ国民が口にするようになりました。その結果、人間の食文化としても、ポテトが定着していったのです。
 こう考えると、ドイツでハムやソーセージが普及したプロセスは、実にユーモラスなものであったことが分かります。自然環境だけでなく、流通、貿易、戦争といった人為的な要因があって、初めて生じたものであったと理解されるのです。レシピだけでなく、こうした歴史を踏まえると、ハムをギフトとして送り甲斐があるように感じます。